第二回 日本画無料講座 写生
きょうは、日本画の下絵となる写生の勉強法を紹介したいと思います。
1.デッサンについて
誰もが一度はデッサンという言葉を聞いたことがあるでしょう。美術学校で日本画を専攻するには鉛筆デッサンというデッサンの技術の習得が必要になります。鉛筆デッサンは物体を陰影のみで捉える描写法で、何枚も何日も描き、技巧を駆使しないとまともな作品に仕上がりません。鉛筆デッサンを習得するだけで1年は必要です。デッサンの欠点は非常に時間がかかるため生き物を捉えることができません。デッサンはどちらかというと数日間そのままの状態に保てる被写体に適した描法です。
筆者の経験から申しますと日本画における鉛筆デッサンは、はっきりいって時間の無駄です。美術学校の入学試験のテストで必須のスキルという以外に日本画ではデッサンの必要性はありません。日本における鉛筆デッサンは他人をふるい落として門戸を狭めるための心の狭い仕掛けであり日本画の本質にデッサンは絶対に必要というわけではありません。
たったひとつの物体を鉛筆デッサンで詳細に描くために何日もかけるなどということは写真を写したようなリアル系のジャンルを目指す人以外にとってはどうでもよいことです。
なにも西洋画の真似をしなくても日本画は描けます。鉛筆デッサンを日本画の必修とすることはたいへん愚かなことです。私たちのご先祖様はデッサンをしていましたか?むしろ日本画にとって大切なのはデッサンではなく写生です。
一応デッサンの教科書も紹介しておきます。知らないよりは知っていたほうがよい技術ではありますけども。
最低でも、デッサンの習得はまじめに勉強すれば3か月はかかります。ポジティブに考えるとたった三か月で基礎が身につくお手軽な技能であるともいえます。しかしいったんデッサンの技術を身に着けてしまいますと金太郎飴みたいな形態になりがちで個性が失われますので一生をデッサンに支配されるというデメリットがあるので独自の画法をお求めの方はご注意ください。
まずはデッサンの基本である「リンゴ」や「瓶」「靴」「卵」などを描いて練習してみましょう。白い物体は陰影をとらえやすいので練習になりますよ。
こちらの本も評判はなかなかです。
趣味の日本画のみなさんには、いきなりデッサンができるかどうかは日本画や絵描きになることとはほぼまったく関係ありませんので、安心して写生のレッスンをやってみましょう。気楽に描きたい方は、何のことか理屈はさっぱりわからなくてもよいです。美大生や今の流行のように、日本画では、本質的に遠近法を学ぶ必要もありません。むしろいびつな絵のほうがその人らしいです。
(デッサンを学びたいかたはご自由にどうぞ)
気楽に、愉しくできる範囲で楽しく日本画で遊べばそれでよいのです。
うまくなろう、とか、難しいことは考えてはいけません。
まずは、絵を描くことそのものを好きになってほしいのです。
2.写生について
デッサンの技術はなくとも、日本画は写生の能力がほぼ必ず必要です。自然を描こうと思うと写生しなければなりません。英語ではスケッチなどとも言いまして、どの程度細かく描くかはみなさんの目的次第といえましょう。
日本画の下絵(下図)を作るためにも写生が必要となります。
写生が巧ければよいというと、そうでもありません。
目指す方向により、必要な技能はおのずと違ってきます。
作品としての完成度と写実性は関係ありませんので写真のごとく写生できなくてもご安心ください。
ところがずる賢い人間はけしからんことを考えます。
「デジタルカメラで撮ってプリントした紙をなぞればいい!」
そうは問屋がおろしません。
日本画として最悪最低なことは実物を見ずに写真をなぞることです。
写真をなぞったものはもはや日本画でも芸術でもないことに気を付けてください。
写真のトレースはただのコピペやパクリと同じ品の悪さで単なる商業イラストでしかありません。
なぜならそこには日本画の精神が皆無で心のない物だからです。
日本画の心とは何か?それはみなさんがご自分で見つけていってください。
日本画の精神は決して他人や機械から与えられるものではありません。
写生が巧ければよいというと、そうでもありません。
目指す方向により、必要な技能はおのずと違ってきます。
作品としての完成度と写実性は関係ありませんので写真のごとく写生できなくてもご安心ください。
ところがずる賢い人間はけしからんことを考えます。
「デジタルカメラで撮ってプリントした紙をなぞればいい!」
そうは問屋がおろしません。
日本画として最悪最低なことは実物を見ずに写真をなぞることです。
写真をなぞったものはもはや日本画でも芸術でもないことに気を付けてください。
写真のトレースはただのコピペやパクリと同じ品の悪さで単なる商業イラストでしかありません。
なぜならそこには日本画の精神が皆無で心のない物だからです。
日本画の心とは何か?それはみなさんがご自分で見つけていってください。
日本画の精神は決して他人や機械から与えられるものではありません。
日本画のスケッチの初歩は洋画のスケッチとは異なり形はなるべく正確であるほうが望ましいです。頭で細部の形状を覚えていられるなら適当でも大丈夫です。写生は植物のスケッチはボタニカルアートと共通する部分があります。そのうち手を抜く場所がわかってきますので最終的には必要なところは詳細に描き、手を抜くところは抜くという描き方になります。そして大事なところは頭で記憶することが何よりも重要です。
ときどき意図的に手を抜いているところを「へたくそ」となじる人もおりますが、日本画では隅々まですべてをリアルに描くことが重要なわけではありません。そもそもすべてをリアルに描いていれば描く時間がとても足りません。そこはピアノを楽譜通りに弾くことばかりに気を取られて批判ばかりしている人と同じで、ほんとうに重要なことは音楽も芸術もそこではないのです。そんなに写実性が需要ならコンピューターに描かせたり弾かせればよいだけです。もちろん、写実の美を追及される方は素晴らしいですよ。でも芸術はそれだけではなく上手に描けなくてもよいということをわかっていただければと思います。
作品のメインとなる花、動物はしっかりと細部まで写生しておくのが基本です。
植物の写生では、まずは花からしっかり描き、葉は数枚だけ詳しく描いておきますと、時間も短縮できます。
写生は、鉛筆デッサンをするより短時間で済ませられます。
3.スケッチブックのサイズについて
日本画をはじめるにあたり、スケッチブックは、F10号は必要です。F10号はいちばん大きなサイズですが、植物は意外と大きいので、F10号のスケッチブックに収まらないときもあります。F10号のスケッチブックを見開きで使えばF20号になります。はじめての方は、小さいスケッチブックを選びがちになりますが、初心者ほど大きなスケッチブックで描いたほうがよいです。
最も安価でB3で千円ちょっとほどです。おすすめなのがマルマンのオリーブスケッチブックです。B3が一番大きくて次にF8が大きいです。見開きで使うとF20号相当の画面になります。あのスタジオジブリの宮崎駿先生も仕事でよくお使いになっています。さすがに日展院展の日本画家様はもっと高級なものをお使いかもしれませんが。筆者の通う日本画教室も全員このスケッチブックを使っています。
下絵を飾ったりせずおおざっぱに描かれるなら、下記の1000円~3000円のF10スケッチブックがおすすめです(何度も描き直す練習にぴったりですが、発色は悪いです)。
水彩画としてスケッチを飾りたいのであればホワイトワトソンのような高級水彩紙でスケッチをされることをおすすめします。しかしあまりに値段の高いスケッチブックを使うと紙を試行錯誤で汚したくなくなり上達になりません。 マルマンオリーブに納得がいかない方におすすめなのがホルベインの安価なスケッチブックです。消しゴムの耐久性はマルマンよりも劣るかもしれませんが、水彩紙の感覚が必要な方にはおすすめだと思います。
4.鉛筆と練り消しゴムについて
デッサン用鉛筆のおすすめ
鉛筆は、なんでも使いやすいものを選びましょう。
2Bくらいがスケッチの「ふつう」ですが、用途によってお好きな濃さのものを選ぶとよいです。
三菱鉛筆 鉛筆 ハイユニ アートセット 22本入 HUAS
デッサンといえば、ハイユニ。受験生からプロまで愛用する鉛筆です。写真のような筆入れつきでお得です。 ふつうの筆箱に鉛筆を入れると消しゴムや鉛筆の軸まで真っ黒になりますのでスケッチのときに白い紙が汚れやすくなります。 |
ステッドラー 鉛筆 ルモグラフ 高級 100G12 12硬度セット |
カステル 9000番鉛筆アートセット 119065 |
ダーウェント グラフィックペンシル ソフト 12種セット |
とりあえずどの鉛筆を買ってよいかわからないかたは、ステッドラーの2B鉛筆をおすすめします。
ステッドラー マルスエルゴソフト鉛筆 2B
とりあえずステッドラー2Bの鉛筆が2本くらいあったらよいでしょう。
ステッドラー 鉛筆削り ノリスクラブ 512 128 三角筒型
リヒトラブ ペンケース A7551-24 黒
同時に携帯の鉛筆削りとペンケースもお忘れなく。
練り消しゴムのおすすめ
次は、練り消しゴムについてみていきたいと思います。日本画で写生をするには、練り消しゴムが必要です。もちろんプラスチック消しゴムでもよいですが、広い面積を消したいときは練り消しゴムのほうが便利です。
私のおすすめは、プラスチックケースがついている練り消しゴムです。
なぜケース付きの練り消しゴムがよいかといいますと、練り消しゴムをビニール袋から出すと、袋に戻すのがたいへんだからです。そのうち袋に入れるのが嫌になって筆箱の中に放り込んでしまうと、もうその練り消しゴムは使いたくなくなります。
練り消しゴムを収納せずに机に置きっぱなしにしておくとホコリが付いて嫌になります。
なので、ケース付の練り消しゴムがおすすめです。
文房堂 ネリゴム ARTIST CLEANER |
クサカベ 練りゴム Artists' Eraser 3個セット |
ヒノデワシ センサー練り消しゴム NSR-100 |
バニー イージークリーナー(ネリゴム) 3個セット |
ホルベイン ネリゴム KNEADED RUBBER No.1 (3個入り) @アートウェーブオリジナルハガキサイズ画用紙付き |
アートウェーブオリジナル ネリゴム 3種類 使い比べセット |
練り消しゴムいろいろ⇒リンク
ヒノデワシ 消しゴム ねりけしくん センサー練りゴム NSR-100 / 20セット
練り消しゴムは通販でまとめ買いをしてお友達や生徒さんと分け合うとお得です。
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