20160921

第四十回 日本画無料講座 男らしい描き方 女らしい描き方とは?

ちょっと脱線 男らしい描き方 女らしい日本画描き方とは?

今回は、日本画の本筋とはちょっと違う見方の紹介をしたいと思います。江戸時代~明治時代には女流の日本画家が、おそらく日本史での公式資料としては、初めて歴史に登場すると思います。確か葛飾北斎の娘の葛飾応為と、小倉遊亀と植村松園がそれぞれの時代で最も有名であるかもしれません。残念ながら女性というだけで見下されていた時代に女流画家が認められることはそれだけ少なかったということでしょう。そんな当時の女流日本画家と、その他大勢の男性日本画家の着眼点や表現の違いに注目してみましょう。

男性画家が見ている視点は、なかなか明快でわかりきっているので説明不要と思います。

女性視点では、いわゆる女性が「いいね!」をクリックする瞬間といいますか、男性にはない見方があります。そして当時のステレオタイプですね、今でいうと茶髪にセレブ系のファッションやカワイイですか、そういった女性視点の理想像も日本画には反映されています。現代の若い女性の日本画家にはまさに「カワイイ」という流行が反映されています。ゾウやキリンをかわいく描く子供向けの表現といいますか、そんな風に動物を見ている様子をが現代の女性画家の日本画ではネットでの情報の模倣も伝達されたりもてはやされたりして一部で流行ってます。もちろん仮屋崎省吾さんみたいな視点で描いてもカワイイを日本画で表現できると思いますが、現代女性に多い見方といえましょう。

そうそう、上村松園といえば、男性が普段目にすることのない女性の姿が描かれていますよね。男性の前では井戸で水浴びなどしませんし、裁縫や化粧も男の前では現代でも滅多にやりませんよね。当時の男性画家にはわからないエロ視点ではない女性像といいますか、ありのままの女性の本質が描かれています。それは女性自身でしか表現できないとは限りませんが、ついエロにいってしまう男性画家では稼ぎにならない着眼点といえましょう。しかしそれもまた女性という生き物の本質ですから真実の姿でもあります。

小倉遊亀も、子供を描いたり、日本の日常の卓上の静物を描いたり、男性画家などというものは、他人の子供はかわいくないという人もいて子供を描いても稼ぎにはなりませんから、小倉遊亀の描く日本画もまた男性画家には描けない日本人の本質をしっかり描いているといえましょう。子供なんてものは、当時も適当に扱われていた時代ですから健康な男性ファーストの時代においては冷たくあしらって当然の存在だったのかもしれませんね。そんな時代において優しく子供を見つめる小倉遊亀は当時としては珍しく現代と共通の価値観を持っているといえましょう。今ではテレビで情報がすぐに伝達できるので、子供は他人の子供でも命より最優先、という思想が日本にも浸透していますね。

葛飾応為もまた女性ならでわといいますか、インターネットで作品を閲覧した限りでは、エロに夢中になる男性と女郎屋で囚われの身である女性を冷静に描いたり、かなり冷静な視点を持っているといえましょう。

男性日本画家のステレオタイプ

よくある男性の日本画家のステレオタイプといえば、中央の日の丸構図にドドーンと大きなお花を持って来たりすることでしょう。そして渋い日本画に仕上げたり、エロ目線で芸妓を美しく描いたり、流行の思想にふけったり。男はドドーン!とwあとは寂しさ、ですか。寂しい気持ちというのは性衝動と直結してますから。あとは海、港、山!女性はなかなかそういった場所に行く資金も自己防衛力もありませんのでそれは男性の特権といってもよいでしょう。

男女共通の日本画のステレオタイプ

男女に共通して、それほど差異がないのは田舎の貧しい風景画や静物画です。同じ景色を見ているからかもしれませんね。

現代の日本画の流行りの共通タイプ

これはズバリ廃屋や都会の無機質でスチールやコンクリートをモチーフとした風景画です。テーマとしては楽しくありませんけど、絵具も安く上がるし、滅びの美学には誰も見向きもしませんので斬新と見なされる傾向にあるので賞への欲望がある人はよくモチーフに選ぶ対象でしょう。

現代女流画家(1970年代生まれ以降)の一部で流行ってるタイプ

自分の大好きなものばかりを集めて描く日本画が流行しているようです。好きな人、好きな物、好きな自然、好きな色・・・好きな動物。

第三十九回 日本画無料講座 描きはじめは面で塗る 日本画の描き方

日本画の描き方 序盤は面で塗るを心がける

こんにちは。みなさん制作の調子はどうでしょうか。日本画の下地を塗り、下絵の転写を済ませたら、いきなりクライマックスの完成形の色を細かく塗るのではなく、まずは刷毛などで広い面積を面で塗ってみましょう。最初から細部を面相筆で描くと、初心者でもベテランでも後がたいへんです。いつも最後に調子が崩れて失敗気味になる場合は平筆で明るい色から面を塗る、を繰り返してみましょう。

もちろん自信のある方は細部からはじめても最終的に立て直すことは可能です。でもやっぱり、慣れないうちは平筆の扱いを覚えるためにも、面相筆で塗り切れないような、大きな面積を塗る時には平筆を使ってみましょう。平筆、意外と難しいですよ。何が難しいかというと、岩絵具の場合、塗った場所が見えないことがしょっちゅうありまして、乾いてみないときれいに塗れたかどうか、わかりません。

それと平筆は可能な限り、安いものをおすすめします。高級平筆でも三度使うと毛が三分の一になっていた、なんてこともしばしばです。

この基本の塗り方は、日本画と透明水彩の描き方と共通しています。

20160920

第三十八回 日本画無料講座 白色の岩絵具の価格の比較2016年

日本画岩絵具(白色)の価格を比較しました。

いつも買ってる通販の量り売りのお店とよりも、地元の岩絵具のほうが安かったので、日本画絵具の価格を比較することにしました。

純方解末(ほうかいまつ)の価格比較

2016年9月現在の純方解末12番の価格を比較しました。
  • ナカガワ胡粉の定価(いわゆる希望小売価格)・・・15g 241円 ビン入り
  • 同上・・・100g 1102円(税込み)
  • 絵具屋三吉・・・15g 145円(税込み)
  • ゆめ画材・・・ナカガワ胡粉の15g瓶入り 248円(税込み)
  • 丹青堂・・・50g 432円(税込み)
ほほう。大阪の丹青堂が、信じられないくらいに一番安いですね~。φ(..)メモメモでも丹青堂さんのほかの絵具はちょっと定価っぽい。

新岩絵具、岩白の価格比較

ついでに、岩白12番手の価格を比較しました。
  • ナカガワ胡粉の定価・・・瓶入り 20g 780円(税込み)
  • 丹青堂・・・10g 324円(税込み)
  • 絵具屋三吉・・・15g 437円(税込み)
  • 得応軒・・・1両 435円(税込み)
  • ゆめ画材・・・ナカガワ胡粉 瓶入り 20g 842円(税込み)(アマゾンで見てみる→
  • アートウェーブ・・・ナカガワ胡粉 瓶入り 20g 843円(楽天で見てみる→
ふ~ん。得応軒が一番安いのかなぁ。得応軒の1両って何gだろう。15gという人もいるらしいけど、ほんとかな?正式には約16gらしいけど、絵具屋さんは何gで一両といってるのだろう。ゆめ画材さんは2,000円以上の購入で送料無料だから、送料が価格に添加されているようですね。

天然岩絵具 水晶末の価格比較

  • アマゾン・・・100g 1350円(税・送料込み)13番手は合わせ買いで15g 248円
ホルベインの優彩 水晶末 100g は現時点で1350円で送料無料 ホルベインの水晶末は、水晶末を特殊顔料でコーティングしているのかな?そこが気になるポイントです。

  • 絵具屋三吉・・・15g 205円(税込み) 500g 1080円(税込み)メーカー製(おそらく上羽かな)500g 6080円(税込み)
  • 丹青堂・・・10g 151円(税込み)
  • ゆめ画材・・・ナカガワ胡粉 瓶入り 15g 432円(税込み)
水晶末は絵具屋三吉とホルベインがお得かなぁ。500gで1080円は・・・かなり安いですね。

白でもいろいろあるんですよね。

20160919

第三十七回 日本画無料講座 合成岩絵具のすすめ

合成岩絵具は安くておすすめ!でも欠点も。

万年貧乏な私は、はじめは天然岩絵具にこだわっていましたが、次に新岩絵具というガラスを着色した粉末の絵具に妥協していました。そして最近は合成岩絵具に目覚めました。合成は不変性という点で退色が心配なので避けてきましたが、最近はそうもいってられなくて合成岩絵具でしか鮮やかな色がなかったりして、やむを得ず積極的に使うことにしました。合成岩絵具より不変性があり長期保存可能な透明水彩をやったほうがマシかというと、そうでもないので、もうちょっと日本画を続けていこうと思います。もちろん透明水彩も好きです。

合成岩絵具には欠点があります。それは粒子が細かすぎるので、絵肌が細かい下地の上に着色すると、透明水彩で描くより残念な結果になるということです。透明水彩用紙は紙の凹凸がありますから、絵具が偏りにくいのです。12番手の下地の上に合成岩絵具を使いますと、もう染みだらけの汚い花になっちゃって、私は落ち込みました。

ですので合成岩絵具をお使いになる際には岩絵具などでつるつるになった面の上に描かないように気を付けましょう。

結局、合成岩絵具はおすすめしませんが、どうしても色がない時に使ったり、お金のない時に重宝します。

合成岩絵具は乳鉢などでよくすりつぶして使いましょう。

20160908

第三十六回 日本画無料講座 額縁を買うお金がない時に買うおすすめの仮縁

日本画専用の額縁と、本額を買えない時のための仮縁

秋の公募展の季節になりました。日本画を描かれているみなさんの最初の登竜門となるのが自治体の公募展です。少々大きめの作品が出来上がりましたら市展や県展といったお住いの地域の公募展に応募してみましょう。

日本画の公募展の応募には額縁が必要です

はじめて日本画を身近な公募展に応募する時に必要な物が額縁と出品料です。公募展への出品料は安いところで無料~千円ほどかかります。公募展に応募する際に誤りやすいのが応募作品の搬入日(はんにゅうび)といって作品を展示会場に運ぶ日が意外と短くて、お勤めの皆さん、特に夜勤の方は年に一度の機会を逃してしまうこともあります。

あとはマナーの問題として、日本画が少々上達された方が腕試しで近隣の自治体の低レベルな公募展に出品して賞をかっさらう行為は残念ながら、低俗な行為と言わざるを得ません。あちらこちらの自治体の同レベルの公募展で賞をとっても道場荒らしと何ら変わりのない攻撃的な行為で日本画を描く人としては人間性が低い行為、コミュニケーションに欠ける行為といえましょう。そのような欲望があるくらいならもっと精進してひとつ上のレベルの公募展に応募したほうが建設的というものです。写真展などになると酷いものでプロレベルに達しているのに地方の写真展の賞を毎年のように(命が尽きるまで)総なめしてブログで自慢しているおじいさんがいらっしゃいます。自分がもし写真を応募する立場なら、機会を潰されているようなもので可能性のある挑戦者にとっては応募する価値のない公募展となるでしょう。それと同じことが日本画の世界でも起きているのを私は目の当たりにしたことがあります。自治体の方も応募地域の範囲を広げ過ぎていることも問題であると思います。自治体では毎年同じ人が入賞して他の応募者を不快にさせたり筆を折らせない仕組みとして、入賞回数の上限を設けて、それ以降の応募は無鑑査という枠があるのが普通です。

もちろん賞を狙って作品づくりができる水準にない初心者の方についてはコミュニケーションの一環として楽しくあちらこちらに応募しても大丈夫でしょう。

市民芸術祭の要(かなめ)は万民が楽しむためのコミュニケーションイベントなのです。賞金目当ての公募展と勘違いしてはいけません。

額縁にガラスやアクリル板を入れて応募してはいけません

日本画はみんなに見てもらうためのものであり金目のものではありません。ですので展示会に日本画を飾る場合はガラスやアクリル板は外しておきましょう。見る人の立場になれば、てかてかと画面が反射して非常に見づらいし、見ていただく方にたいへん失礼です。

「俺様私様の絵はとーっても大切だから見る人の息やゴミや微生物から画面を保護しなければ!」なんて考えであるなら応募したり展示しなければよいのです。この自己中心的な欲望と展示会はよほどぶしつけで低レベルな管理の展示場でなければ両立しません。

さて、日本画の額縁のことです。日本画の木製パネル作品専用といえる額縁のメーカーは1、2社ほどしかありません。そのひとつが大仙という額縁メーカーです。


こんな感じの額縁に入れますと、日本画の大作が引き立ちます。もちろん、普通の油彩用の額縁でも応募可能ですし、日本画用の額縁を買うお金のない人が普通です。油彩額を日本画に利用する場合は、なるべく余白の大きな額縁がよいでしょう。※ボードなどに薄塗りの方は水墨画用の額を使います。

仮縁~日本画・油彩共通の公募展用の額縁

普通の人は本縁なんてそう何個も買えるはずありませんから、公募展への応募の時のみにとりあえず使用する額縁を仮縁といいます。仮縁は本縁の半額以下の価格で買えますので、各サイズにつき1個ずつ揃えておいてもよいでしょう。
仮縁でおすすめなのが、金属製の仮縁です。木製の額縁はネズミや害虫の食害に遭いますので、長く倉庫に保管しておく仮縁は金属製のものがおすすめです。マットなども付けると結構な金額になりますので、外枠だけで十分でしょう。

私も先日、応募のためにCXシリーズの仮縁を購入しました。本縁の三分の一の価格でしたので、お財布には厳しいものの、これからのことを思うとやむを得ません。そのかわり、秋に買おうと思っていた別の物をいくつかあきらめました。もしも趣味が日本画しかない場合は本縁の購入をおすすめしますが、たいていの方は、ほかにもご趣味があると思いますし、ましてプロでもないので仮縁で十分だと思います。