日本画の裏打ち紙の種類と特徴
楮(和紙)Wikipediaより
本日の講座では裏打ち紙(うらうちし)について述べたいと思います。裏打ち紙は和紙や絹などの布に描かれた日本画を補強するために使います。薄美濃紙(うすみのがみ、楮の紙)は裏打ちに最もよく使われる和紙です。細川紙(小川紙のひとつで重要無形文化財)や宇陀紙(楮の厚紙)、美栖紙(みすがみ、楮の紙)も薄手で裏打ちに用いられます。裏打ち紙は色重ねの効果を狙って染色してから貼り付けることもあります。裏打ちは何枚か重ねることもあります。裏打ちにはカビ予防のため古糊(6年ほど寝かせた糊)が用いられます。もしかしたら補強のために紙以外にも絹などの布地を使うこともあるかもしれません。石州紙(せきしゅうし、楮の紙)は耐久性があり表具の下張りに用いられます。泥間合紙(雁皮紙)は耐熱性と虫に強い特徴があります。黒谷の楮紙は屏風の羽に使われます。打紙は湿らせ木槌や打刷毛などを用いて叩いて密度を上げたものを使います(砧打ち)。
楮紙
楮には上記で述べた紙のほかに典具帖紙(てんぐじょうし)や奉書紙(ほうしょし)などの薄紙があります。和紙には澱粉や石の粉末(泥)を添加されたものもあります。
英語では和紙のことをJapanese tissueと呼びます。楮はそのままKozoと書きます。紙は中性紙を用い酸性紙は保存に向かないため用いません(すぐボロボロになります)。