20170703

岩絵具の混色の方法 第五十五回 日本画無料講座

岩絵具の混色

通常日本画では絵の具の混色はあまり行われてきませんでした。それというのも岩石を砕いた絵の具は粒子が荒いので透明水彩や油彩絵の具のように混色できないからです。今回は比較的相性の良い日本画の絵の具を混色してみました。今回使用しました岩絵具は方解末12番と中川胡粉の岩若葉11番です。

日本画岩絵具の混色方法-方解末

まずは絵皿に適量の岩絵具を出し指で混ぜます。

日本画岩絵具の混色方法2

膠水を少量垂らしてよく練り好みの固さにして混色の完成です。

今回は11番の粒子と12番の粒子の組み合わせですが、岩絵具を混色する場合は同じ粒子番号の絵具を用います。異なる粒子番号や材質の岩絵具を混色すると比重などの違いによりどちらか一方が浮いてしまったり、あるいは沈殿して混色の効果が失われます。

また、写真で見てみると絵具が濡れているときには緑色がちょうどよい感じに見えますが、絵具が乾くと方解末の白さが強調されました。

日本画用の絵具は湿っている時と乾いている時とではまったく異なる色になる絵具がいくつもあります。

今回の場合、若葉の11番は方解末12番より粒子が荒いので、方解末の白さが上面に際立ち若葉は沈殿して目立たない感じになりました。透明水彩ではこのような現象は無く水で溶いた色がほぼそのまま白い紙の上に反映されます。

岩絵具の混色はできる物とできない物があります。粒子番号が荒くなると混色というよりも点で描いているような感じになります。近い色合い同士の組み合わせは比較的混色の相性が良いですが、赤と緑などの反発し合うような色の混色は難しく透明水彩のようにグレーを作ることはできません。日本画絵具は不透明ですから透明な混色というものはできません。素材によっては有毒となる組み合わせもあるかもしれません。

混色するとどんな色になるか少量ずついろいろ試して色を探してみましょう。