20161006

第四十四回 日本画無料講座 合成岩絵具の使い方

日本画の合成岩絵具の説明と使い方

前回は合成岩絵具を安価な絵具としておすすめしていました。合成岩絵具とは、水晶末または方解末に顔料をコーティングした絵具で、カラ擦りをすると顔料が剥がれてしまう絵具です。ホルベインの優彩や、石彩絵具も同様に顔料をコーティングした人造岩絵具です。ホルベインの優彩は水晶末に着色してますので、混色できるとの説明があります。上羽絵惣新彩岩絵具は、方解末に着色した合成岩絵具です。水干は胡粉という微粒子を染色していますので、天然の水干以外の合成水干もまた人造絵具といえましょう。
  • 合成・・・ただ合成と書かれたものでメーカーはわかりません。
  • 優彩・・・水晶末をコーティング、ホルベイン
  • 新彩岩絵具・・・方解末をコーティング、上羽
  • 石彩岩絵具・・・2000度で焼成処理したボーキサイト(bauxite、鉄礬土、酸化アルミニウムを含む鉱石)に着彩した岩絵具、三吉
コーティングがどのように行われているのかはわかりませんが、方法さえわかれば自分でも絵具を調合することができると思います。膠では気温で溶解しますので、樹脂を使えば自分でもコーティングできるかもしれません。樹脂にも耐久性がありますので、特殊な樹脂が必要となってくるでしょう。

合成岩絵具最大の欠点、それは退光性!

先日、私も主たる物にやむを得ず合成岩絵具を使ってみました。ところが蛍光灯の光といいますか、紫外線だけじゃないと思うのですが、暗い部屋に一か月ほど置いていたのに、何となく鮮やかさを失っていました。普通の人には見わけはつかないと思うのですが、私の目にはマゼンタっぽい色が色あせているように思いました。もしかしたら、素地の白が影響して乾燥するにつれ彩度が低くなっただけかもしれませんが、ちょっと気になる出来事でした。もちろん天然の岩絵具も酸化したり、部屋の汚れた空気や塵の混ざった湿気で汚くなっていきますから、退色は絵画の宿命ともいえましょう。デジタルで作った絵と比べると、日本画もまた鮮やかさでは叶わないなと思わせる出来事でした。岩絵具ですら、いつかは革のバッグがダメになるのと同じ理屈で高い湿気を含むとカビたり剥がれ落ちてしまいますから、膠という接着剤についても考えさせられました。

合成岩絵具は指などで溶いてから使います

合成岩絵具は、膠とは混ざりにくかったり、水にプカプカと浮いて粒子が固まっていたりしますので、少量の膠や水で溶いて、一回水を捨てて膠水を足すなどして使います。