20161012

第四十七回 日本画無料講座 表現のすすめ。ネタ切れなら休憩して外に出よう

表現のすすめ。日本画でネタ切れになったら休憩して、外に出よう

こんにちは。みなさん制作の調子はどうでしょうか。日本画の制作で趣味以上の公募展を目指すなら、ただ単にひとつの植物や動物を最低限の号数の和紙(キャンバス)に描いただけでは、どんなに技量があろうとも、受賞は不可能です。日本画で地元の市展や県展の公募展で受賞するには、卓上の小物や植物をそのままシンプルに描いただけでは、色彩や構図に特別な工夫がない限り、受賞は厳しいです。日本画はド派手であるほど地方の公募展での入賞確率が高まりおとなしく清楚である作品は、小さな号数では入選どまりです。日本画の審査には大学の入学の試験や成績評価と同じように、構図、デッサン、塗りの技術、色彩、その展覧会にふさわしい話題性など、日展的な審査基準が適応されています。地方の市展や県展といえども日展の審査員が名前を連ねていたら、要注意です。彼らは往々にしてデッサン力がない地方の公募展においては色彩や構図、地域性、強いインパクトを重視しデッサン力はあまり重要視していませんので、それに合わせた描き方をしなければ入賞は難しいです。もちろんそれ以外の要素でも高いレベルであれば、入賞可能ですがひたすら写生を追求して汚くなったような作品は入選が関の山といえましょう。無意識にマティスのようになった作品も、日本画では構図と色彩がよければ評価されます。中途半端にリアルに描こうとして技能が足りなかった場合は低評価になりやすいです。日本画で写実を追求しすぎるとほかの部分が犠牲になって結局、デッサン技量不足だけが目立ったりしますので、気を付けたいところです。デッサン能力の無さをカバーでけきるのは、構図や塗り方です。
  • 難易度の高い被写体(モチーフ)
  • 構図
  • 色彩
  • 塗り重ねの技巧
  • テーマ
狙いのテーマが上手に基本的技術で表現できていたら、入賞は易いでしょう。構図も一般的な構図法にのっとっていればデッサンが下手だったとしても、卓上の小物を大胆に描いたとしても優秀な作品として評価されるでしょう。しかし少々その法則を無視して試行錯誤の途中という感じを出したまま応募しますと、よほど100号とかいかにも苦労しましたという感じが出ていない限りは、入選が関の山でしょう。

市展や県展で入賞を目指しそれを目的にすることは決して楽しくはありませんが、基本に乗っ取って勝負しましょう。残念ながら、どの作品が入選するかは審査員の好みや主催者の要望次第であり審査は公平ではありません。朦朧とした曖昧な表現も審査員に理解がなければ低評価に繋がりやすいです。ジャクソン・ポロック、アンディ・ウォーホル・・・コンセプチュアル・アート、ポストモダン、それらを模倣しても、模倣でしかありませんが、知ってる人が見たら評価してもらいやすくなるでしょう。ポストモダンは炎上商法と共通するものがあり、日展の日本画家でも取り入れられてる技法です。ミニマリズムで日本画を作ったら、間違いなく芸術じゃないと受賞候補から排除されるでしょう。そうかといってこれが新しい技法だ!と我流を出したとしても、人間ですから差別意識が高まり「嫌い」という感情が審査員に生まれるのは考えるまでもありません。審査員も人間ですから「嫌い」と「作者」の名前を何度も見ると、パブロフの犬同様に「作者」の名前を見るだけで「嫌い」という感情が犬のごとく湧いてくるものです。権威ある画家も犬と変わりない心理を持っているということですので、常連の審査員や委員、主催者に目を付けられいじわるされないように気を付けましょう。

つまるところ、芸術家の意図なんて、技法がわからないと見る人には少しもわかりません。どんなに難解な作品でも、無知な大衆には好きか、どうでもいいか、嫌悪するか、と、時には作者の感情を感じるか、その程度しかわからないものです。ですから、誰に見てもらいたいかによっても表現方法は変わってきます。幼児に見てほしいなら、絵本のように色とりどりで、優しく傷つけない表現方法を、今時のカワイイが好きな女性に見てもらいたいなら、ポップアートみたいなカワイイ表現を・・・高齢者に見てもらいたいなら近代日本画を、偉ぶった男性の倫理観を挑発したいならヌードの女性とポストモダンと、そんな感じで表現方法を見直してもいいかもしれません。

例えば信仰心をそのまま表現したければ、仏様やマリア様を描いて応募したっていいんです。怒りを表現したって、何描いたっていいのです(あまりに倫理観を逸脱したら、地方程度の公募展では悪評がたつかも)。何も旧式の日本画の表現に囚われる必要はありませんし、そもそも師事してないのにいくら頑張ったって、伝統技法を受け継ぐことはできませんから。審査員をおちょくりたいなら、何も表現しないことを目指したっていいのです。何も「こんなに苦しみました~!」をみじめに表現しなくたっていいのですよ。自らを貶める必要なんて日本画でもありませんから。日本画もまた、金持ちご用達の富と権力を象徴する芸術という枠は先生方の努力によって取り払われつつありますから、もっと気楽にいきましょう。

あなたは日本画で何を表現しますか?それとも先生の靴を、舐めますか?