20160908

第三十六回 日本画無料講座 額縁を買うお金がない時に買うおすすめの仮縁

日本画専用の額縁と、本額を買えない時のための仮縁

秋の公募展の季節になりました。日本画を描かれているみなさんの最初の登竜門となるのが自治体の公募展です。少々大きめの作品が出来上がりましたら市展や県展といったお住いの地域の公募展に応募してみましょう。

日本画の公募展の応募には額縁が必要です

はじめて日本画を身近な公募展に応募する時に必要な物が額縁と出品料です。公募展への出品料は安いところで無料~千円ほどかかります。公募展に応募する際に誤りやすいのが応募作品の搬入日(はんにゅうび)といって作品を展示会場に運ぶ日が意外と短くて、お勤めの皆さん、特に夜勤の方は年に一度の機会を逃してしまうこともあります。

あとはマナーの問題として、日本画が少々上達された方が腕試しで近隣の自治体の低レベルな公募展に出品して賞をかっさらう行為は残念ながら、低俗な行為と言わざるを得ません。あちらこちらの自治体の同レベルの公募展で賞をとっても道場荒らしと何ら変わりのない攻撃的な行為で日本画を描く人としては人間性が低い行為、コミュニケーションに欠ける行為といえましょう。そのような欲望があるくらいならもっと精進してひとつ上のレベルの公募展に応募したほうが建設的というものです。写真展などになると酷いものでプロレベルに達しているのに地方の写真展の賞を毎年のように(命が尽きるまで)総なめしてブログで自慢しているおじいさんがいらっしゃいます。自分がもし写真を応募する立場なら、機会を潰されているようなもので可能性のある挑戦者にとっては応募する価値のない公募展となるでしょう。それと同じことが日本画の世界でも起きているのを私は目の当たりにしたことがあります。自治体の方も応募地域の範囲を広げ過ぎていることも問題であると思います。自治体では毎年同じ人が入賞して他の応募者を不快にさせたり筆を折らせない仕組みとして、入賞回数の上限を設けて、それ以降の応募は無鑑査という枠があるのが普通です。

もちろん賞を狙って作品づくりができる水準にない初心者の方についてはコミュニケーションの一環として楽しくあちらこちらに応募しても大丈夫でしょう。

市民芸術祭の要(かなめ)は万民が楽しむためのコミュニケーションイベントなのです。賞金目当ての公募展と勘違いしてはいけません。

額縁にガラスやアクリル板を入れて応募してはいけません

日本画はみんなに見てもらうためのものであり金目のものではありません。ですので展示会に日本画を飾る場合はガラスやアクリル板は外しておきましょう。見る人の立場になれば、てかてかと画面が反射して非常に見づらいし、見ていただく方にたいへん失礼です。

「俺様私様の絵はとーっても大切だから見る人の息やゴミや微生物から画面を保護しなければ!」なんて考えであるなら応募したり展示しなければよいのです。この自己中心的な欲望と展示会はよほどぶしつけで低レベルな管理の展示場でなければ両立しません。

さて、日本画の額縁のことです。日本画の木製パネル作品専用といえる額縁のメーカーは1、2社ほどしかありません。そのひとつが大仙という額縁メーカーです。


こんな感じの額縁に入れますと、日本画の大作が引き立ちます。もちろん、普通の油彩用の額縁でも応募可能ですし、日本画用の額縁を買うお金のない人が普通です。油彩額を日本画に利用する場合は、なるべく余白の大きな額縁がよいでしょう。※ボードなどに薄塗りの方は水墨画用の額を使います。

仮縁~日本画・油彩共通の公募展用の額縁

普通の人は本縁なんてそう何個も買えるはずありませんから、公募展への応募の時のみにとりあえず使用する額縁を仮縁といいます。仮縁は本縁の半額以下の価格で買えますので、各サイズにつき1個ずつ揃えておいてもよいでしょう。
仮縁でおすすめなのが、金属製の仮縁です。木製の額縁はネズミや害虫の食害に遭いますので、長く倉庫に保管しておく仮縁は金属製のものがおすすめです。マットなども付けると結構な金額になりますので、外枠だけで十分でしょう。

私も先日、応募のためにCXシリーズの仮縁を購入しました。本縁の三分の一の価格でしたので、お財布には厳しいものの、これからのことを思うとやむを得ません。そのかわり、秋に買おうと思っていた別の物をいくつかあきらめました。もしも趣味が日本画しかない場合は本縁の購入をおすすめしますが、たいていの方は、ほかにもご趣味があると思いますし、ましてプロでもないので仮縁で十分だと思います。