20160607

第三十五回 日本画無料講座 岩絵具が画面に落ちた場合の修正法

日本画の描き方講座35 日本画絵具が画面に落ちた場合の対処法

今回の日本画講座では、描画途中の画面(キャンバス)に日本画絵具(岩絵具)が落下した時の対処法です。この失敗は、日本画制作のキャンバスサイズが大きくなるほど起きやすくなるといえましょう。私の経験では「今日は気持ちが乗らないな~」という日に、つまり脳に疲労が蓄積されている時にこのようなミスは起きやすいと思います。

日本画絵具(岩絵具)が画面(和紙)の上に落下してしまいました
日本画絵具(岩絵具)が画面(和紙)の上に落下してしまいました。

まさに先日のことです。ちょっとやる気が湧かないな、という日に無理して日本画の岩絵具での着色をすすめていた時のことでした。絵皿を切らしており、仕方なく絵皿の蓋を裏返してそこに岩絵具と膠水を入れながら使っていました。準備不足であることは確かなのえすが、私は絵皿に岩絵具を残しておいて毎回捨てないタイプですので、それで絵皿を使い果たしていざ描きたい時に絵皿がないという状況がよく置きます。

つまり日本画を描くときに左脳から右脳に切り替えるまで時間がかかって構想も0になっていた時のことでした。いったん頭を切り替えると調子よく描けるのですが・・・。

そんな時にスボラな絵皿から日本画の和紙の上の花に薄桃色を塗っていたときのことです。気が付いたら葉の上にポタッっと桃色の岩絵具(人造岩絵具)を落としていました。私は画面に岩絵具を落としていることにもまったく気が付かずに描いていまして(つまり、夢中になっいて)、お絵かきを終えた時に絵具を落としていたことに初めて気が付き慌てました。

慌ててすぐに筆などで岩絵具を拭い取るべからず

この写真の岩絵具はこぼしてからどれだけ時間が経過しているのかわかりませんので、うっかり筆で拭い取ってしまうと下地まですべて取れてしまうことがよくあります。慌ててしまい、つい日本画絵具が乾くまで待てない時があるのです。ですので乾いた画面に絵具を零してすぐではない場合、いったん日本画絵具が乾くまで待ったほうがよいでしょう。逆に乾いている画面に日本画絵具をこぼしてしまった場合はすぐに拭えば大丈夫です。

失敗と試行錯誤を重ねて絵具除去の技術を取得する

私もプロではありませんので、お教えできることはこれくらいですが、水を付けた絵筆で岩絵具を少しずつ丁寧になぞりこぼした絵具を削り取ります。気を付けるべきことはお察しの通り、下の絵具を削らずに絵具を拭うことです。絵具の種類や量にもよりますが、あまり面相筆は使わないほうがよいのではないかと思います。そして中央を重点的になぞるのではなく全体をまんべんなく拭っていったほうがきれいに取れるのではないかと思います。

和紙に染み込んだ膠水の色までは拭えない

残念ながら、こぼした絵具と膠水の量が多ければ多いほど、輪っかのような茶色のシミが残ります。このシミまでは取り去ることはできません。もしも膠の着色を取りたいならば、熱めの湯を使い絵具ごと除去するしか通常の方法では取れません。

絵皿はなるべく描く場所の近くに置く

絵皿と描きたい場所との距離が長ければ長いほど、絵具に含ませた膠水の水分が多ければ多いほど日本画の画面の中に日本画絵具をこぼしてしまう確率は上がります。こればかりは透明のビニールを敷いてその上にタオルを敷いてそれから絵皿をキャンバス上に置くなどして大事な画面を保護するしか絵具の途中落下を防ぐ方法はありません。私は絵皿を日本画のキャンバスの上に置くことはほとんど絶対にしませんが、大作を描かれる場合はこういった絵具零しの対応をしておいたほうがよいといえるでしょう。とろみ(粘性)の強い状態の絵具はあまりこぼれることはありませんので、特に乾燥しやすい絵具の場合は手に絵皿を持って日本画を描くこともよくあります。

日本画の画面に付いたホコリはすぐに取るべき

今回のケースとは逆に、日本画を描いている最中に凄いホコリが画面に付着することがあります。暗い色の絵具を使用している時にはホコリは気になりませんが、写真の作例のように明るい絵具を使用している場合はホコリがかなり気になります。日本画の先生によっては遠くから鑑賞するので気にしなくてもよいという方もいらっしゃるようですが、私は先生ではありませんので、日本画の画面に付いたホコリは大嫌いです。ですので、私はホコリを取ろうとして乾いた画面を濡らして下塗りの絵具まで取り去ってしまうこともしばしば、その際は部分的に1から同じ色の塗り直しをしなければなりません。そんなことを思うと日本画の画面に付いたホコリは日本画絵具が乾く前に取ってしまうべきです。

日本画の作例から、岩絵具を削った後

最初の写真から、薄桃色の部分を短めの筆で削って20分ほど自然乾燥させてみました。岩絵具を削り取ってからどのようになったか写真を撮ってみました。まだ完全には乾いていませんのでむやみに触れてはいけません。

日本画で岩絵具を削った後の写真
日本画で岩絵具を削った後の写真

少々絵の具が残りましたが、点が残っているため後でもう少し削ってみようと思いますが、いったんこれで修正は完了としたいと思います。後でまたこれより暗い絵の具を塗りますので、絵具の除去はなんとかなったといえましょう。これが文化財の修復とかそういうことになると大失敗ですね(;^_^A

20160522

第三十四回 日本画無料講座 平筆は安物に限る理由

日本画の描き方講座 平筆は安いものがおすすめ

みなさんが日本画を始められる時にまず買われる筆のひとつに平筆があります。特に以下に挙げるような何とか堂の平筆といった風に筆職人が丹精込めて毛の一本一本を揃えた上等の筆を手にしたくなるというのが人情です。かくいう私も一本くらいはと、上等な筆を買ったものでした。

高級品の平筆、見てると欲しくなりますよね(^^)
でもね、これは岩絵の具を扱う際にはあまりおすすめじゃないんです。
岩絵の具はガラス粉末や鉱物を細かく砕いた粉ですから、透明水彩絵の具やチューブ日本画絵具、顔彩絵具のように粒子が細かくありません。

考えの早いお方ならもう日本画の平筆に高い筆をおすすめしない理由は察していただけたかと思います。

このような高級絵筆を長く使い続けられるのは、日本画のチューブ絵具や顔彩、白番など粒子の細かい絵具のみを扱う場合です。


実はこれくらいの安物が日本画の平筆としてはおすすめなんです。
もちろんお金持ちの方は高い平筆を買われることでしょう。
しかしそれ以外の大多数のお方には安い平筆をおすすめします。

筆は消耗品です。

つまりすぐにダメになってしまうということです、特に平筆は。
面相筆は結構長持ちしますけど、日本画では平筆の消耗速度は面相の比じゃありません。
日本画では平筆のストローク回数は多いですから、すぐに筆が削れて短くなってしまうのです。
そういうことで、日本画の平筆は安物の羊毛がおすすめです。

私も自分にご褒美と、高い平筆を買いましたが、すぐに筆が日本画絵具で削れてしまい、たいへんがっかりしました( ノД`)
日本画用の平筆のサイズは3~8号あたりがおすすめです。

20160510

第三十三回 日本画無料講座 背景づくり 実演あり

日本画の岩絵の具で背景を塗る方法 日本画の描き方

第三十二回の日本画の描き方講座では、地塗り後の初期の背景づくり、下塗りの1回目をご紹介しました。第三十三回の日本画の描き方無料講座は背景づくりについてご紹介したいと思います。

岩絵の具で何層かの塗りを重ねる日本画の魅力

現代日本画の標準的な描き方(どこの大学でも学ぶ塗り方)についてです。地塗りといって和紙に一度目の色を塗り、その次の下塗りで何となく物のアウトラインがわかるような塗り方を前回はご紹介しました。今回はその次、大体下塗りから3回目くらいに塗る方法をご紹介したいと思います。もちろん私の描き方ですので、万人に共通する描き方ではないかもしれませんが、日本画の描き方の本にも背景づくりに触れているご著書がありますので、その内容とほとんど同じことを述べたいと思います。でも私の日本画の描き方の説明のほうがちょっと詳しいかもしれません(*^^*)

日本画の描き方-岩絵の具での背景の塗り方
日本画の描き方-岩絵の具での背景の塗り方

これは現在製作中の筆者の日本画の画面の一部です。全体をお見せしたいのは山々なんですが、完成後は公募展に応募してみたいなという気持ちもあって部分的な公開となります。

ある本(タイトルは忘れました)では地塗り後の一回目で朱で線画を描いたり、濃淡を先につけてしまうという描き方もあるようです。それは他人様の描き方なので、いつかやってみたいと思いつつも作品の雰囲気に合わないので今回は遠慮しておこうと思います。

私は背景に定番の肌色のような色を地塗りとして1回目に塗りました。そして2回目にはやや白っぽい色を下塗りとして背景に塗り日本画の絵肌を少し整えました。植物の葉には緑を軽く塗りましたが思うところがあり気に入りませんでした。この写真を見てみると、肌色、白色、緑の面影が見えることでしょう。そして今回の3回目はどの色を塗ったかわかりますでしょうか?3回目ともなると全体の雰囲気を決める色をいくつか画面全体に塗ってみてどんな具合か考えながら日本画岩絵の具を6cm幅くらいの刷毛で塗っていきます。電気を消して暗い部屋で見たほうがわかりやすいかもしれませんね。3回目に塗った色のひとつは小豆の色のような暗い色です。先生はこれを見てあ、汚いと一瞬思われたようで、私もちょっと失敗したかなとヒヤリとしました。私は悩むといつも汚い色を使ってしまう癖があるんですけどね。しかし画面が乾いてみるとそんなに悪くはなくて、濡れている時のほうが茶色が濃く見えていただけでした。なぜ茶色のような汚いと思われるような色を塗ったかといいますと、やっぱり美しい画面でもそういった地味な色がないと画面に締まりがでないからです。もちろんペタペタとペンキで塗ったような画風の方には必要のない塗り方ですが、今回はちょっと扱いにくい緑を控えようと途中から思いまして、実は茶色を緑のかわりに使ってみようかと模索したこともあります。もちろん茶色を使いましたのは画面で影になる部分だけです。私も当初はパステル調でいこうかと茶色を使わないように思ったんですが、それでは今回の作品のモチーフが本来持っている雰囲気に合わない、パステル調などはよっぽど隙のない構図じゃないと使い難い、つまり日の丸構図のような構図やパターン化したような構図や小品といった単純化できる絵以外では何がなんだかわからない絵になってしまうということもあります。

さて、かなりコツを教えてしまったような気がしますが学習できましたでしょうか。学んだところがあれば、ついでにリンクからお買い物でもしていってくださいね(*´ω`*)ほとんどアクセスのないこのブログですが、滅多にない反応があるとやっぱり嬉しいです。

ああ、そうそう、私、もしも本物の職業画家になったらw?画家なんて絶対に名乗りたくない!と思う。だって恥ずかしいもの。遊んでお金を貰うなんて恥ずかしいに決まってる!どんなに四苦八苦したってたいへん立派な使命感があったって結局は遊びだもん。

20160419

第三十二回 日本画無料講座 下塗りの方法 実演あり

日本画で下塗りする方法 日本画の描き方

日本画を描くことは結構面倒な労力を要します。まずは準備がたいへんで、紙貼りも面倒ですが、もっと面倒なのはやはり下絵作りです。下絵が決まったら下塗りした和紙に転写します。今回はこのあたりからの説明をしたいと思います。
日本画の描き方-下塗りの基本編
恥ずかしながら、筆者の制作画面、地塗り後の1回目の彩色です。

作品の全容をお見せすると正体がバレそうなので、このあたりで説明いたします。

この図は下塗りを済ませた和紙に、念紙で下絵を転写して、塗り始めの様子です。我ながら部分的であってもきれいに見えますね・・・やはりこの美しさは技術というより岩絵の具のおかげといえましょう。いいえ、画像処理できれいに見えてるだけです\(^o^)/実はもっと淡い色なんですが、見やすくするためにくっきりしてみました。なんだか日本史に出てくる古代史の壁画みたいですね!もしかして私、昔の人と同じような描き方してるのでしょうか(´・ω・`)

はっきりいって、誰でもこの程度は下絵さえ描ければできます!

ご覧のように日本画の岩絵の具というものは広い範囲を均一に塗りにくいという特徴があります。その特徴を生かしながら岩絵の具を塗っていきます。

もし均一に岩絵具を塗りたいのであれば刷毛(はけ)という平らな筆であれば割りと均一に塗ることが可能です。

下塗りは大抵は大きな刷毛で行います。粒子の細かい岩絵の具ほど、下塗りに適しています。なぜなら粒子の大きな岩絵具を塗りたくるとお金がかかるからです^^;

つまり、日本画は下絵とお金次第ということがいいたいです。

長らく講座を更新してなかったので、どこまで書いたか忘れてしまいました。

重複してたらすみません。

今日は3つくらいのことをお伝えしました。

あれっ下地づくりって説明してないような・・・。

現代日本画の描き方にもいろいろありますが、背景の色を塗ってから描いたほうが安い和紙を使ってるときは作品がきれいに見えますw

でもなんとなくわかればOKです!

お金さえあれば誰でも自力でできるんですよ、日本画は。

お金さえあれば・・・ね( ;∀;)

20150908

第三十一回 日本画無料講座 日本画岩絵具の1両で塗れる範囲、どれくらい塗れるか?

Q.日本画絵具の1両で塗れる範囲はどれくらい?

日本画の絵具を買う際に、何両買えばよいのかという問題があります。
今日の日本画講座では、この質問に対し回答したいと思います。

A.日本画絵具の1両(15g)で塗れる範囲は粒子番号や作風によって異なります

岩絵具には粒子番号があり、1番に近いほど粒子が荒く、13番に近いほど粒子が細かく、白番がもっとも粒子が細かい日本画絵具になります。

白番で塗れる範囲は私も(このような講座を開かなければならないほど貧しいので)測ったことがありません。今のところ一度購入してから白番がすぐにしまえるということはありません。白番は意図的にひび割れを生じさせる目的でなければ大量に絵具を使こともありませんので、長く使える特徴があります。予算がなくて薄塗りでがんばりたい人に恩恵のある絵具です。(もっと節約したければ水干絵具がおすすめです)

白番が広い面積を塗れる一方で、粒子の荒い番号は一両で狭い面積しか塗れません。刷毛に荒い絵具を取ったらもったいないくらい刷毛の毛の中に付いたまま残ります。粒子番号の小さな荒い岩絵具は使い方によっては長持ちしますが、普通の絵具のように面積を荒い粒子番号のみで塗ろうとすると家計が傾き生活が苦しくなります(笑)

10番も早く絵具がしまえますので、広い面積に必要な色は11番や12番あたりで得られたほうが10番よりも少しは長持ちします。荒い粒子の絵肌(マチェール)を出したいのであれば、方解末という安価な荒い粒子の絵具を塗ってから、粒子の細かい絵具を重ねることをおすすめます。あるいは粒子の荒い絵の具は仕上げにだけ使ったり、庶民は節約するしかありません。

大体、30号以上のサイズになりますと、1両では足りなくなる場合があります(白番の薄塗りでは足りるかもしれません)。50号となると、まずよく使う色は3両ほど準備しといたほうがよいと思います。参考になるかどうかはわかりませんが、広い面積を安価に塗りたいときははじめに水干絵具を使います。

一度に広い面積を塗るときほど(庶民は)粒子の細かい絵具が必要になります。

20150725

ナカガワ胡粉と吉祥 岩絵の具について 第三十回日本画無料講座

日本画絵具の製造販売メーカーについて
きょうは、特に初心者が混乱する日本画天然岩絵具新岩絵具のメーカーについて調べてみました。筆者も初心者の頃は、○○店で買うと割引が受けられる、などと先生ご用達のお店で買うことをすすめられました。でも薄々は岩絵具の製造メーカーは一社ではないと思い始め、ではどうすれば先生が指名した岩絵具を通信販売で買えるか困り果てました。

新岩絵具となると先生に同じ色名でも持っている色と全然違うという怪訝な顔をされるときがあります。筆者も困惑している状況に変わりありません。どうやら絵具は製造時期によって同じ名前でも色が異なるようです。

有名なナカガワ胡粉のほかには吉祥というメーカーの岩絵具がありまして、吉祥もまた新岩絵具で天然では得難い色を作られています。ナカガワ胡粉のほうは商店に瓶で卸して量り売りをされていたり小瓶入りのたくさんの色がずらりとお店においてありますね。

画材店で日本画絵具の小瓶がずらりと並んだ光景は日本画家にとっては唾涎ものですね。


ナカガワ胡粉株式会社

明治30(1867)年に創業された会社で京都府の宇治市に本社があるようす。日本画の絵具メーカーとしては最大数の色を作られています。(会社概要から引用)

日本ではじめて新岩絵具を発明された会社のようです。


ナカガワの小瓶入り岩絵具の取扱店



株式会社吉祥

古くは明治43(1879)年に遡るそうです。初代は松吉商店として和紙・染色材料・美術書籍を扱っており、昭和45年から日本画チューブ絵具と水干絵具の製造販売をはじめ、昭和50年に社名を「株式会社吉祥」に改められたそうです。画材小売業のほうは昭和54年に「松吉画材」に改め画材やオフィス用品を扱っているそうです。
(会社概要から引用)


吉祥の小瓶入り岩絵具の取扱店


絵具屋三吉・ウエマツ

よくわかる今の絵画材料」によると、昭和7(1932)年に「上松大雅堂」から上田氏が独立起業したお店です。京都造形芸術大学のHPによると、絵具屋三吉とウエマツ画材店の社長は同じ上田邦介氏という方で、皆さんもご存じのように「絵具屋三吉」というネットショップも営業しています。樹脂の日本画メディウムは三吉のオリジナルで珍しい砂も扱っています。

放光堂

京都に行かれるときは、一度は訪れてみたい、天然の岩絵具を作られて販売しておられるお店です。庶民には買えない絵具ばかりで高級品です!


ホルベイン工業株式会社

ホルベインも近年日本画絵具に参入しました。ホルベインは優彩という水晶末に耐光性のある顔料でコーティングした日本画用絵具を製造・販売しています。


いずれも耐光性、耐久性の評価については非公開のようです。
ホルベインの優彩を扱っています。

20150722

第二十九回 日本画無料講座 胡粉と方解末、軽石、タルク 日本画画材

日本画絵具の胡粉と方解末、軽石、タルクとは?

今日は、日本画に欠かせない胡粉について学びたいと思います。

胡粉(ごふん)

現在の胡粉とは白色の顔料で炭酸カルシウムを主体とする絵具です。
古くから世界中で白色顔料として使われてきました。
日本にはシルクロードを伝って胡粉が伝えられ、
古くは奈良時代に鉛白を胡粉と呼んでいました。

室町以降の胡粉

室町時代からは牡蠣などの貝殻を砕いた胡粉が好まれるようになり、
胡粉といえば牡蠣殻を粉末にしたもののことを意味するようになりました。

イタボガキの胡粉

胡粉といえばこれをイメージする方も多いのではないでしょうか。10年以上風雨に晒し、
表面を研磨して石臼で挽きます。ナカガワ胡粉が販売されているようです。
(イタボガキから造る胡粉参考HP

イタボガキは瀬戸内海で獲れていたそうなんですが、
今では貝が絶えてしまいもう得られないそうでイタボガキの胡粉生産も在庫限りで終わられる予定のようです。

気になって調べたところ、昔は日本の沿岸によくある貝だったそうなのですが、
1980年代中ごろを最後に忽然と姿を消し、ほとんど絶滅してしまったようです。
ほかにもいろんな貝類が姿を消したそうです。
もしかしたら山からのの養分が土砂とともに沿岸に流れなくなったことが影響しているのかもしれませんね。
日本沿岸の砂浜を形成している原料のひとつが川からの砂であり、その供給が絶たれていることは砂浜の減少や干潟や浅瀬の生物の絶滅や減少とも関係ありそうです。
巡り巡って遠洋の生態や漁にも影響がありそうですね。
2014年大分県の岩本水産でイタボガキの養殖に成功したそうです。

ホタテ貝の胡粉

帆立貝から作られた胡粉です。上羽絵惣がネイル向けに製造しているようですが、画材としては詳しくはわかりません。

現在の胡粉

貝殻から製造した胡粉を含め、
貝化石などの重質炭酸カルシウムを原料とする岩石を胡粉というようになりました。

重質炭酸カルシウム岩石の胡粉

いわゆる石灰岩のことです。古代の貝化石です。
皮肉にも日本画家にとって必要な山を醜く削って作られる顔料です。
方解石(方解末)や大理石(岩胡粉)も石灰石のひとつです。

方解末

方解石の粉末です。安価な白色顔料です。寒水石とも。

方解石(ほうかいせき、calcite、カルサイト)は、鉱物(炭酸塩鉱物)の一種です。
組成は炭酸カルシウム(CaCO3)。
石灰岩の主成分鉱物で、鉱石として扱われる場合は石灰石、石材として扱われる場合は大理石と呼ばれます。
(wikipediaより引用)

白土(シリカ)(SiO2)とは組成が異なる。

岩胡粉

大理石の粉末です。

結晶質石灰岩(けっしょうしつせっかいがん、英: crystalline limestone)と呼ばれる。石灰岩がマグマの熱を受けて接触変成作用で再結晶したもので、変成岩の一種である。主な構成鉱物は方解石です

楽天市場で岩胡粉を見てみる→

三吉絵具の胡粉

原材料が明記されていませんので、問い合わせてみないとわかりません。
商品説明に「岩を~」と書いてありましたので、岩系の胡粉かもしれません。

盛上胡粉(貝原料)

その名の通り、画面を盛るための胡粉です。
全体あるいは部分的に厚塗りをする際に使用します。
粒子が荒く不揃いで剥落が少ないのが特徴です。

筆者は価格の手頃な下記の吉祥の盛上胡粉を使っております。
このいちばん安い盛上胡粉の残念なところは、荒く作られていますので
時折黒い貝の破片が混じっており、
塗ってしまってからピンセットで取らなければいけないことがあり、
それを取ると画面に穴が開いてしまうところが厄介です。
空摺りをする際に見つけたら取り除いておくのがポイントのようです。
吉祥のウェブサイトに、盛上胡粉は・・・

「天然カキの貝殻を風化したものを粉砕し、水干精製したもので、
日本画では重要な材料です。とくに、白色で粒子の細かいものが上物とされます。
また、特上品は人形の顔などを作る時にも使用します。

と書かれてありましたので、この吉祥の商品は牡蠣殻で作られたものと思われます。
(ほんとうに牡蠣殻を使っているかどうかについては記述がなくお店にお問い合わせください。)
触るとふわっとしたやさしい感触があるのが特徴です。

ナカガワ胡粉の胡粉です。
水飛胡粉はイタボ牡蠣の貝殻を10年間野ざらしにして石臼で挽いて作ったとあります。
上等の胡粉です。


ホルベインの胡粉
ホルベインの胡粉は天然カキの貝殻を風化し、水干精製したものです。


上羽絵惣の胡粉です。
精製度によってグラムあたりの価格が違います。
飛切は現在製造を中止しているそうです。
(胡粉ネイルにホタテ貝を使っているそうですが、画材の胡粉にどのような貝を使われているかについては記述がなくお店にお問い合わせください)
日本画に使うには価格が高いので、下地材というよりは人形など大事なところに使います。



上羽絵惣の現在は安全な胡粉ネイルで女性客を獲得し、がんばっておられるようです。
胡粉ネイルの類似品がでるほどですから、成功されているのでしょう。

雲母を入れて輝きを出された色もあるようです。


軽石(盛上)

軽石(かるいし、pumice、パミス)とは、火山砕屑物の一種で、
塊状で多孔質のもののうち淡色のもの。浮石(ふせき)あるいは浮岩(ふがん)ともいいます。
主に流紋岩質~安山岩質のマグマが噴火の際に地下深部から上昇し、
減圧することによってマグマに溶解していた水などの揮発成分が発泡したため多孔質となったものです。
栃木県の鹿沼土も軽石です。
(wikipediaより引用)

鹿沼土のように、軽石そのものは酸性です。
日本画の軽石は・・・筆者は使う機会がなく手元にないのでph測定していません。
もし盛上という軽石が酸性であった場合は作品の長期保存性が劣ると思います。

軽石(パミス)は西洋画だけでなく日本画の盛上として使われます。
おそらく三吉絵具の盛上は軽石ではないかと思うのですが、真偽はお店の方にお問い合わせください。


タルク(滑石)

タルクとは滑石のことで、珪酸塩鉱物の一種、あるいはこの鉱物を主成分とする岩石の名称です。
水酸化マグネシウムとケイ酸塩からなる鉱物で、粘土鉱物の一種です。
組成式は Mg3Si4O10(OH)2 です。ろうそくや真珠のような光沢をもち、
蝋石とよばれることがあります。
チョークの原料ともなり、モース硬度は1と柔らかい石です。
低品質のものは、アスベストを含有することがあるので不用意に吸入したりすることのないよう注意が必要でです。
(wikipediaより引用)


石膏(硫酸カルシウム、ジェッソ)

石膏(せっこう、gypsum、イタリア語でジェッソ)とは硫酸カルシウム(CaSO4)を主成分とする鉱物です。

日本には本物の石膏はイタリアからの輸入に頼っており供給が不安定で、
ホルベインのボローニャ石膏とクサカベピグメントソチーレ石膏が有名です。


白色顔料は商品によっては品質が一定ではなく色合いが微妙に異なりますので、気に入ったものがあればまとめ買いをされることをおすすめします。